ワキガ・多汗症に関する考え方

「自分はワキガ・多汗症ではないか?」
と、思いながらひとりで悩みを背負い込む人が多く、最近では若い人ばかりでなく60歳以上の方が全体の20%にも達するほどの悩みとなっています。

 

ワキガ・多汗症に関する考え方は、日本人と欧米人とは随分と事情の違うようです。
また、ワキガと汗臭さが違うことや、ワキガは不潔が原因というという誤解。

同じニオイでも欧米ではノープロブレム

ワキガや多汗症についてどのくらい正確に知っているかは大きな問題です。

 

気恥ずかしさや間違った治療に関する間違った認識に行って専門医に相談するのをためらう方は多いのではないでしょうか。身体的苦痛を伴う症状がないだけに自分でカバーしようと考える方が多いです。

 

他の病気のように体の機能を損ねたり、ましてや命にかかわる局面などではあろません。しかし、多過ぎる汗や強いニオイは、対人関係のうえで大きなデメリットとなり得ます。中には心を病むほど傷つく人もいますしその距離を縮めることができなかったり、希望する職業につけないとといったことも往々にあるのが現状です。

 

これが欧米であれば、大分事情は変わります。欧米人にはワキガ体質の人の割合が多いため、体のニオイに関して寛容です。着物にお香を焚きしめて残り香や移り香を愛おしむといった日本古来の文化と比べて、トイレ事情などから生じる不快な臭いをカバーするために香水が発達したのが西洋の文化です。

 

海外では、ワキガよりも多汗症で悩む人のほうが多いようです。
体臭=フェロモンという文化的認識に違いもあります。そもそもワキガの原因であるアポクリン汗腺は体調調節には関与せず、性的アピールの機能として存在していると考えられています。しかし日本では、多汗症体質の人が少ないため、より敏感に反応され易いようです。これに追い打ちをかけているのが、近年の「清潔志向」「消臭志向」です。

 

多少のニオイや汗にも険悪感を顕にする傾向があります。ごく普通の中高生が、制汗スプレー剤を持ち歩くようになりました。

 

体のニオイに関する話題は非常にデリカシーな問題のためタブー視される傾向にあり仲のいい友人でもなかなか指摘しづらい状況にあります。

 

「自分はワキガ・多汗症ではないか?」と思いながらも確固たる確証が持てず、ひとりで悩みを背負い込む人が多いのはそのためでしょう。最近ではこのように悩んでいる人は若い人ばかりではなく、60歳以上の方が全体の20%にも達しています。

ワキガ臭と汗臭さは別物

ワキ汗やワキ臭は、健康や生命の危険に直結するすることはありませんから、一般的な病気扱いをされることはありません。しかも、非常にデリケートな問題でその症状を声を大にして訴えることはなかなかできません。

 

肉体的な痛みでなければ、同情されたり労られることはあっても、他社がその痛みを共有することはできません。しかし、ニオイの場合はそれがないばかりか「相手に不快感を与えているのではないか」という不安や遠慮で心理的に相当なプレッシャーになります。その結果、正しい知識や情報が伝えられにくく多くの誤解があるのが現状です。

 

まず、ワキガは「汗そのもののニオイとは全く別物です」ということを理解してください。確かに何日間もお風呂入らなかったり運動して大量の汗をかいたりした後などは、体臭は強くなりますが、これはあくまでも「汗臭さ」です。こうした汗のニオイにプラスして、嗜好品であるお酒やタバコ、女性ならば化粧品や香水の香り、また人それぞれの口臭や頭皮のニオイなど。さまざまな香りが一体となってその人固有の「体臭」になっているのです。

 

「ワキガ」は、これらの体臭とも全く異なるニオイです。その最大の違いは「ニオイを予防できるかどうか」という点に尽きます。髪や汗のニオイなら入浴してキレイに洗い流せば解決します。口臭なら食事に気を配ってこまめに歯を磨くことでかなりの予防は可能です。

ワキガは不潔が原因という悲しい誤解

清潔を保つことによってワキ臭はある程度まで軽減することはできますが、ワキガ体質の場合は、それだけでは根本的な解決にはなりません。
しかも、正しい知識や情報が一般的にはほとんど知られていないので、「ワキガは不潔が原因」と誤解をしている人が多いのです。

 

こういう状況だからワキガ体質の人やその予備軍のひとが肩身の狭い状況になってしまうのも無理ないことです。ニオイと汗の悩みは本人にとっては本当に切実なものです。着替えをしたり何種類もの制汗剤やコロンなど常備しながら「自分はまだ清潔に対する心配りが足りないのかも」と思っている人がいることはお気の毒なことなのです。